映画「護られなかった者たちへ」佐藤健

映画「護られなかった者たちへ」佐藤健

 

映画「護られなかった者たちへ」 

 

 

泥水の水たまりに顔を押し付けられている佐藤健さんのアップがとても衝撃的な予告編だった「護られなかった者たちへ」を鑑賞してきました。

体をロープやガムテープで固定され、そのまま餓死させられるという不可解な連続殺人事件を阿部寛さん演じる刑事・笘篠誠一郎が容疑者・利根泰久(佐藤健)を追い詰めていきます。

鑑賞する前は、殺人のトリックなどにもう少し焦点が当たるのかと思っていましたが、それよりもどうして殺人に至ったのかが物語の重要な鍵となっています。

生まれてすぐに捨てられ養護施設で育った泰久、お母さんを津波で亡くしたまだ小学生の女の子カンちゃん、そしてその2人を暖かく見守る元理容師のおばあちゃん・けいさん(倍賞美津子)の3人は東日本大震災の避難所で出会い、お互いを思い合い優しく寄り添いながら過ごしていきます。

物語は、9年前の震災直後の混乱の中での出会いから家族のように過ごす姿と、現在のなぜかムショ上がりの泰久、連続餓死殺人事件を追う笘篠、そして保健福祉センターで生活保護に関する仕事に携わっている丸山幹子(清原果耶)へ焦点を行ったりきたりして進んでいきます。

それにしても清原果耶さんの演技力!落ち着き!!
2002年1月生まれの若干19歳だというのに、48歳のみちよよりもよっぽど落ち着いていて貫禄を感じました。

そして健くんの眼力!
泰久の何者も寄せ付けないような鋭い目つきには怒りと寂しさを感じさせられ、そこから心を開いたけいさんとカンちゃんに見せる満面の笑み。この落差を作り出せる健くんにも脱帽でした。(途中、笑顔にしろというけいさんに向けた作り笑顔もスゴイ!)

刑事・笘篠の「俺は自分の目で見たものしか信じない」の言葉を地で行き、愚直に足で捜査する姿の本当の意味と愛にも惹きつけられました。

 

 

孤独だった人間が、愛を知ったからこそ起きてしまった悲しい殺人事件のその理由。

誰からも一目置かれていたのに殺された者たち。

「護られなかった者たち」は、誰に護られなかったのか、何に護られなかったのか。

すべてが繋がったときに人の想いの尊さを感じました。
そして泰久の「死んでいい人間なんていないんだよ」の言葉の重さも深く伝わってきました。

東日本大震災から10年。
震災は清原果耶さん主演の朝ドラ「おかえりモネ」でも重要なポイントになっていますが、東北の方たちの視点で作った震災の物語は東京で被災した人間はまだまだ本当の苦労をわかっていないんだなと改めて知る機会にもなると思っています。
今回の「護られなかった者たちへ」も、私としてはまた震災の新しい面を知る機会にもなりました。
そういった意味でも、本当に観てよかったと思いました。

みちよメーター
涙 度:4★★★★
考えさせられた度:5★★★★★

 

映画:護られなかった者たちへ
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫、瀬々敬久
音楽:村松崇継
原作:中山七里
公開日:2021年10月1日

 

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